元ブラックエプロンが考えるスタバの顔面採用神話

Starbucks Coffee Japan(スタバ)で働いてみたいと思う方は少なくないのではないでしょうか。

私は学部生の時に東京都内のスタバで、シフトスーパーバイザー(SSV)とブラックエプロンとして働けた2年間を含める4年間働かせてもらいました。
そこでの経験をもとに複数回に分けて当ブログでは、アルバイトに悩まれている方、今のアルバイトに満足していない方、そして、サービス業全般に関わる方を対象にスタバで働く魅力と考えなくてはならない点を紹介していこうと思います。

 アルバイトを辞めてから2年以上経ているため、リクルートシステムやトレーニング、社内制度に関しては変更点が多くあると思います。また職務内容や就業形態については公開できる内容が限定的な点もありますので、一つの参考として読んでいただけると幸いです!


記事構成:
①:どうやったら入れるの!? 顔面採用なんでしょ!? (本記事)
②:ドリンクを作るだけなら誰でも出来る…?(業務内容・トレーニング"・"階級制")
③:アルバイトを通じて得られること
④:理想と現実
⑤:スタバでの経験を土台に次のステージへ
おまけ:元BAが考えるスターバックスコーヒーの「コーヒー」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうやったら入れるの!? 顔面採用なんでしょ!?

第一回ではスタバのアルバイト採用についてI.顔面採用神話 II.面接対策 の二点を中心に述べていきたいと思います。
面接制度自体は、に詳しく書かれているのでそちらを参考にしてください。

www.starbucks.co.jp

 

I. 顔面採用神話

Yahoo!知恵袋で「スタバ バイト」と調べると、かなり多くの方が働きたいけれど採用されない!!と困っている方が数多く見受けられました。なかには、私の顔面偏差値が低いからだと容姿のせいだと結論づけている場合も多くあります。結局は顔面採用なんでしょ?と。

このよく聞く都市伝説。実情はというと…分かりません。もしかしたらそうかもしれませんし、そうではないかもしれません。煮え切らない回答になりすいません。

結局は人(多くは店舗の店長)が採用するため、店舗の雰囲気との兼ね合いや多少の個人的な好みはあるのかもしれません。正社員ではなかったのでリクルートの際のスタンダードがあるのかは分かりませんが、1,457店舗(2019年9月現在)が日本にある以上、採用には1457通りのやり方があるわけで、顔面採用が絶対にないとは言い切れないのが実情です。

よく顔面偏差値ではないよ!だって私が・俺が 採用されたんだから!!
みたいな回答をされる現役学生バリスタも多く見ますが、論理が飛躍しすぎているためあまり参考にしないで良いと思います…

私は、自分の経験則から考えるに以下の2つの理由から”顔面”のみで採用を行っている店舗責任者はほとんどいないと思っています; 

  1. 顔面の良さは恣意的であるため、良い悪いの判断は難しい。飲食である以上、清潔さがより求められる。
  2. 店舗責任者は何十人何百人のバリスタと長年現場で働き、採用し、トレーニングしてきた人材発掘・育成のエキスパート。顔だけで採用するような人はそもそも採用プロセスはまかされない。 

1:顔面評価の難しさと清潔さの重要性

自分の推しているアイドルが、友達からはディスられる。そんなことは日常で多くあると思います。顔の好みは人によって異なる、というのは至極当然ですね。
スターバックス問わず多くの飲食の現場においては、顔面的な良さよりもいかに面接対象者が清潔であるかの方が重要視されると思います。
本記事ではスタバという企業のブランド力については触れませんが、スタバは誰もが知っているような一大有名コーヒーチェーン。そこで働くバリスタは、社長よりも本社の管理職よりも店舗で働くバリスタこそが企業の顔となります。そのため、会社の顔に泥を塗るような飲食なのに爪が長い人や服装がだらしないような人はバーやレジに立たせたくないのです。
面接段階で、受けている人がエプロンを着けたらどのように働くか、面接者は想像しながら面接をするとよく聞きます。清潔度が大切というよりかは、清潔度が高い人が初めて面接の本当の意味でのスタートラインに立てるのです。

 

2:面接者は人材発掘・育成のエキスパート
面接をおこなってくれる店舗責任者は、長年現場で働いてきた現場のエキスパートです。もちろん人間ではありますので、スタバという企業の価値観や考え方に沿わないような人材を採用してしまうことはごくたまにあります。ただ、私の経験上、何で店長はこの人を採用したんだろうといった人に限って、半年後誰よりも輝くバリスタになっている光景を何度も見てきました。
店長だけではなく店舗というチーム全体で、その人にあった育成を何度も練り直しながらも考えてくれているからだと思います。そのような経験から、いわばスタバで輝ける原石を見つけ出す力がとても高いということです。
ですので、そのような人は顔のみではなく、先の清潔度や、その人の価値観、話し方、経験、ポテンシャルなどを総合的に判断して採用を行っているのでしょう。

以上のことから、顔面のみで判断されることは限りなく少ないと分かっていただけたかと思います。

II.面接対策

では、具体的にどうすればスタバで働けるのでしょうか。

違う例に置き換えて考えてみたいと思います。
ある人と恋人になりたいとき、どのようなプロセスを経て二人は結ばれるのでしょうか。
i.相手のことを知り、好きになる。
ii.相手にも自分のことを理解してもらう。
iii.お互いにあらゆる条件を超えながらも結ばれる。
少し強引かもしれませんが、だいたいはこのような流れになるのだと思います。

両者の契約という点で言えば、このプロセスはアルバイト採用と大きく結びついていると思います。

 企業を理解し、企業の求めることに対して私が何故そこで働くに値するのかを企業に伝え、雇用条件に合意し、採用に至る。

 このようなプロセスは、就活をしたことがある人なら当たり前かもしれません。が、初めてアルバイト面接に挑む方の中には、慣れていないかたもいるかと思います。例えば、

  • おしゃれそうだからという理由でスタバに申し込み、なぜ働きたいのかという質問に困る。
  • あなたの強みや弱みは何なのかという基本的な質問に躓く。
  • 面接の最終段階で働ける時間や日数の条件が折り合わない。

などなど。

就活への突破法については他の方に委ねるとして、スタバという企業における

  1. 企業・店舗理解の必要性 
  2. 自己理解 
  3. 就業条件の明確化 

という3ステップがどのように重要なのかを紹介していきます。


1:企業や店舗のニーズを知る
企業理解:
スターバックスという企業や、アルバイトの基本業務などについては上記紹介のHPに公式に紹介されているためあまり多くは触れません。HPを読んでみてイメージを掴み、実際の店舗で働いているバリスタを観察しながら自分が働く姿を想像してみてください。特に所謂企業理念であるOur Mission and Valuesは贔屓目なしにスタバ以外でも活用できるような素敵な価値観であると思います。
私が好きだった(好きな)Valueは、

勇気をもって行動し、現状に満足せず、新しい方法を追い求めます<Starbucks Japan Mission and Valuesより引用>

辞めたあとでも、これらのValusには考えさせられ、時には自分の軸を決める力強い存在になります。

 店舗理解:
企業理解に次いで店舗理解が非常に大切だと私は思います。この店舗理解の重要性についてはあまり述べられている人をみたことがありません。
まずスタバは1457店舗あると述べましたが、その店舗にはそれぞれ異なる色を持っています。例えば、

  • オフィス街のスタバの主なカスタマー層はサラリーマンであり、ドリップコーヒーがよく売れる。
  • ドライブスルーではフードもよく売れるため客単価が高い。
  • ショッピングモールなどでは、昼食後や夕食後にピークが到来し、混雑度があがるため、その合間の原材料などの準備が重要。

などなど。

店舗の色が違えば、採用したい人材も変わってきます。比較的混雑度の少ないお店では、カスタマーとの距離が近くなるためコミュニケーションスキルが特に長けている人。混雑度が高ければ、コミュニケーションを大切にしながらもテキパキ動ける状況判断力が優れている人が求められると思います。
また、開店時間によってもオープンの人が足りないのかクローズの人が足りないのかによって、募集しているのが主婦層か学生なのかなどが変わってきます。
アルバイト募集ページから手当たり次第に面接を受けるのではなく、どの店舗で働きたいのかを明確にし、その店舗はどのような人材を求めていてどのくらいの忙しさなのかなどを把握する必要があるでしょう。カスタマーとして足を運んで見れば、店の雰囲気をつかめますし、将来共に働ける人も見ることができると思うのでモチベーションに繋がると思います。
面接の際に、「スタバも好きですがこの店舗自体もa 、b、c、といった理由で気に入っています。特にこの時間帯は〜みたいなお客様が多いと思うので、私なら〜みたいな対応を楽しみながら出来ると思います!」

など言えたら面接を担当される店舗責任者も喜んで受け入れてくれるのではないでしょうか。

2:働く目的を明確に
なぜスタバで働きたいのか。なぜスタバではないと行けないのかを明確にし、きちんと伝えることが大切です。理由は気持ちさえこもっていて論理的であれば何でも大丈夫だと思います。例えば、

  • スタバでの昔の経験(バリスタにこのようなことをしてもらい感動し、私もそのような人になりたいと思った)
  • スタバで働いている人からの話 (友人のエピソードを交えたり)
  • コーヒーへのパッション
  • カスタマーサービスへの理解とそれを自分の強みにしたいという思い

などなど。
戦略的に言えば多少1で調べた企業理念などに合わせられると良いとは思いますが、自分らしさも大切です。相手はエキスパートですので嘘はばれると思ってください。

また、働く理由を明確にする必要は採用された後にモチベーションになることからも重要であると思います。
スタバで採用されるということは通過点に過ぎず、目標ではないはずです。
何となくの理由でたまたま採用されたパートナーが数ヶ月で止めることを幾度かみてきましたが、そのような人の多くはスタバで働けたという事のみに満足し、目標が明確ではなかったので働く意義がわからなくなってきたのでしょう。


3:雇用条件のマッチング
②での自分の長所や働きたい理由を伝えたうえで、①で述べられた企業と店舗のニーズに合わせることが最終ステップとなります。
面接を受けた人のポテンシャルと採用者の期待とのマッチングについては採用者ではなかったので割愛させていただき、主に雇用条件についてここでは触れようと思います。
まず、①の店舗ニーズでも述べたように店舗によって求める人材がいつからどのくらい週何日で入れるのかという「働く時間」についてが非常に重要視されます。
なぜなら、人が足りていない時間帯に追加したいといった理由もあるとは思いますが、いつまでに一人前のバリスタに育てたいかという人材育成の中長期計画にも関わるからです。
当たり前ですが、入社してすぐのバリスタがすぐにフラペチーノを作れるわけではありません。先輩バリスタが長い時間をかけて、入念に個別指導して初めてお客様に提供できるドリンクを作れるようになります。また、ドリンク作成以外にもレジや物品販売促進、カスタマーコミュニケーションなど覚えることは様々です。(トレーニングや業務内容については別途紹介します)
そのため、トレーニングは長時間かかるわけですが、トレーニングを行うトレーナーの確保や人件費、そして、お店の混み具合に対応したスケジューリングをする必要があります。
例えば、お盆や正月という大混雑する時にトレーニングを行う時間はありません。そのため、4月に採用されたバリスタは頑張って8月くらいまでには一人前に育ってもらいたいという思いが店舗経営の観点から生じてきます。

ですので、採用する段階では、極力長い時間曜日を問わず働ける人の方が、トレーナーの確保や閑散期にトレーニングに回せるという点から採用者としては好まれる傾向にあるのではないでしょうか。特に採用後二ヶ月くらいで辞められてしまったりでもしたら、お店にとっては大損失です。
もちろん、学生であれば授業やサークルでアルバイトに割ける時間が少なくなってしまうという状況は大いに考えられます。また、店舗責任者は契約条件が良いに越したことはありませんが、様々な観点から判断し一年中シフトに入れる人を採用しないということも大いに起こり得ます。
ただ、時間の融通さが採用に向けた一つの大きな要素になることは頭に入れておいて損することはないかと思います。 

まとめと所感:

本記事ではスタバの採用について、4年間のアルバイト経験をもとに思い出しながら書いてみました。こんな偉そうに企業理念やニーズの把握について述べてきましたが、面接を受けた18歳の自分が意識してできていたことは恥ずかしながら殆どありません。だからこそ、スタバで働くことを目指している方には働いて欲しいと思い、本記事を書こうと思いました。
原石として見つけてくれた当時の店長に感謝しかないです。

スタバは顔面神話で到底私には受かるはずではないという悩みを、少しでも考え直すきっかけになればと思います。

もちろん本記事とスタバシリーズを通してスタバで働くことがとても素晴らしいことであると伝えたいわけではありません。スタバ以外でのアルバイト経験がないため、自分のバイト感にバイアスが生じているのも事実だと思います。楽しいこともあれば辛いこともありましたが、総合的に自分にとっては素晴らしい環境であったということです。スタバ以外にも学生のうちに経験できる素敵な職場は沢山あると思います。

ただ、私の個人の経験としてどんなことが良かったか、あるいは、考えさせられたかを発信することは、スタバという企業に関心のある方、目指されている方にとっては参考にしていだだけるのではないでしょうか。
質問は大歓迎です。現役のパートナーさんからのご指摘やご感想なども教えていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

2019.9.28 Tomo